歌舞伎「蛇柳」より怒髪天を衝く
第70回 新作博多人形展(東京展)にて
福岡市長賞を受賞致しました。
税込価格 902,000円
『蛇柳』とはかつて高野山奥の院にあった柳の木のことで災いを招く蛇が、弘法大師の法力により柳の木に姿を変えられたものだと伝えられています。この柳を題材にした『蛇柳』は、約250年前に初演されたのち随分昔に一度演じられただけで長いこと日の目を見ることもなく、その内容も細かいことはよくわからなくなっていました。ですが2013年、市川海老蔵氏の手により復活し長い時を経て上演されました、新たな『蛇柳』では、この柳に怪異が続くある日のこと、住職らの前に丹波の助太郎が現れ、次第に心を乱し始めていきます。後半になり蛇柳の精霊が姿を現しますが、市川海老蔵氏の演じる金剛丸照忠によって怒りが鎮められます。歌舞伎における『押戻(おしもどし)』という演出が展開され、金剛丸照忠は大きな青竹を使って蛇柳の精を花道から押し戻して行き、封印してしまいます。青竹は丈夫で生命力が強いことから、魔除け・破邪(はじゃ)の意味があります。怨霊を「押戻」すのには、うってつけの道具です。この作品は博多人形の技法を用いて私なりに金剛丸照忠の様子を表現してみました。